講師:
當作靖彦(カリフォルニア大学サンディエゴ校・教授)
場所:早稲田大学19号館(
地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報は参加申込者にメールにてご案内します。
参加:無料。ただし、事前申込みをすること(2018年5月10日-20日の間に当ウェブサイトで申込みを受付けます)。
定員:定員20名(定員オーバーの場合、抽選とさせていただきます)
日時:2018年6月29日 15:30~17:30
演題:つながる、かかわる、かわる:ソーシャルメディアと日本語教育
要旨:近年のインターネットの隆盛とそれに伴うソーシャルメディアの発達は情報量の驚くべき増加をもたらし、ソーシャルメディアは情報発信、情報交換の主たる手段、媒体として私たちの日常生活の重要な一部になっています。ソーシャルメディアの急激な成長は言語の諸相、情報交換の形態を変えるとともに、教育・学習を含む私たちの生活のあらゆる面に影響を与えています。様々な社会機能を果たすために、ソーシャルメディアを効果的に使う能力を発展させることは現代人にとっては重要なこととなってきました。
この講演では、ソーシャルメディアと言語学習の関係、特に言語学習へのソーシャルメディアの応用について考えてみます。ソーシャルメディアを使ったコミュニケーションの特徴である「インターアクション」、「ソーシャライゼーション」、「イマージョン」が言語学習でどのような役割を果たすかを認知科学、脳の研究、言語心理学、言語生態学などの観点から考え、言語学習にソーシャルメディアを利用する理論的基盤を探ります。
次に、実際にソーシャルメディアを利用した言語学習の例を概観しながら、21世紀を生きるために必要と言われるICTのスキル、協働力などを伸ばすだけでなく、言語、文化能力を発展させたり、学習の動機付けを高めたりするソーシャルメディア使用の効果を考えてみます。言語学習でソーシャルメディアを利用することにより、私が提唱している「ソーシャルネットワーキングアプローチ」の言語学習で身につけるべき能力の「わかる」、「できる」能力だけでなく、人、モノ、社会、情報と「つながる」、さらには社会活動に「かかわる」、自分が「かわる」、他人、社会を「かえる」能力が発展し、「課題解決の言語学習」、「社会変革、社会貢献の言語学習」が可能になる例を考えてみます。
最後に、ソーシャルメディアを使った言語学習には倫理上の問題やプライバシーの問題などがありますが、その言語学習への応用にあたって、どのような考慮が必要かも考えてみます。インターネット技術は日進月歩です。それにつれ、ソーシャルメディアも急激に変化し続けています。今後のソーシャルメディアの言語学習における利用はどのようになるかも考えてみたいと思います。
講師:
川村よし子(東京国際大学)
場所:早稲田大学22号館,部屋などの詳細情報は参加申込者にメールにてご案内します。
参加:無料。ただし、事前申込みをすること。
定員:定員20名(定員オーバーの場合、抽選とさせていただきます。)
日時:2018年7月22日(日) 10:00~12:00
演題:ICT時代に対応した日本語教師の役割-自律学習に役立つ支援とは何か-
要旨:
ICT時代に入って、これまで以上に日本語学習者の学習目的が多様化したばかりでなく、日本語の学び方も大きく変化してきている。例えば、学習者の辞書利用の実態調査によれば、読解や語彙学習のためによく利用されているWebサイトとしては『Jisho』『Google Translate』があり、アプリとしては『Imiwa?』『TAKOBOTO』などの名前があがる。ところが、各自が実際に利用しているツールは学習者によって異なり、Webでは50種類以上、アプリでは90種類以上の名前があがったとのことである。いっぽう、ドラマやアニメの視聴を通して、あるいは、ゲームや漫画の中で日本語を学んだという学習者も増加の一途をたどっている。このように学び方が多様化する中、日本語教師にはどのような役割が期待されているのであろうか。まず、現在提供されている各種の読解支援ツールの特徴について、教師自身も把握しておく必要がある。そこで、これまで20年間にわたり『リーディング・チュウ太』の開発に始まり、多言語版Web辞書、『チュウ太のやさしくなーれ』等、Web上で読解支援環境を提供してきた経験をもとに、読解支援ツールを開発する際のノウハウや利用の際の留意点等について報告する。また、クラス外の活動によって自由に日本語が学べる環境が整ってきているという今、日本語教育の現場にたつ日本語教師に求められるものも大きく変化しているはずである。そこで、日本語学習のファシリテーターという視点から、自律学習につながる支援について、具体例を取り上げながら、ともに考えていきたい。
講師:加納千恵子(筑波大学名誉教授)、魏娜(国際交流基金)
場所:早稲田大学22号館,部屋などの詳細情報は参加申込者にメールにてご案内します。
参加費:1000円。全額,講師謝金として使用されます。
定員:定員35名(定員オーバーの場合、抽選とさせていただきます。)
日時:2018年9月30日(日) 10:00~12:00
演題:ICT時代の漢字学習を考えるー漢字力診断テストの開発を通してー
要旨:
外国人日本語学習者にとって漢字の学習は難関の一つと言われています。漢字の運用力を語彙力と捉え、他の技能との繋がりのチェックも射程に入れた「漢字力診断テスト」を開発しました。前半は、このテスト開発の経緯を通して考えたことを加納から、後半は、学習経験者の立場および漢字学習のアプリ開発の経験からの所見を魏からお話して、ICT時代の漢字学習の方法と課題について問題提起を行い、参加者の皆さんとご一緒に考えてみたいと思います。
参加される方は以下の3つの質問について予め考えていらしてくださると嬉しいです。
Q1: 漢字の学習で何が一番難しいのか?
Q2: 漢字系学習者と非漢字系学習者にはどんな違いがあるのか?
Q3: ICTの利用によって漢字学習はどう変わるのか?
ー ICTの利用によって促進できることとできないことー
皆様との意見交換を楽しみにしています。
第4回目の開催情報【募集中】
講 師:
毛利貴美(早稲田大学日本語教育研究センター)
場 所:早稲田大学3号館202教室
参加費:無料
定 員:定員40名
日 時:2018年11月11日(日) 10:00~12:00
演題:オンライン上でのリアルな体験がもたらす「人と人をつなぐICT教育」
要 旨:
ICTが広く教育にも普及した今、教師は学びのファシリテーターとして、どう人と人をつないでいくべきなのか、どのような教育効果を目指すのかがが問われてくると思います。今回のお話では、学習者と教師間で手軽に使用できるICTツール(学習リソース)のご紹介をしながら参加者のみなさんと一緒に意見の交換ができれば嬉しく思います。
近年、ICTを教育に利活用することのメリットが謳われていますが、実際に教室に何をどのように取り入れたらいいのか、また、受動的ではなく能動的な教室活動にどう結び付けていったらいいのかは教師側が学習環境をデザインする上で考えていかなければいけない事項であるでしょう。
今回のお話では、まず、私が早稲田大学の全学共通日本語教育副専攻科目の授業で、Skypeによる海外のゲストスピーカーとの遠隔セッション、ビジネス用SNSによる授業レビューなどICTを利活用したインタラクティブな学習環境を設けた結果、学習の場や時間の壁が取り払われ、人との距離が通常よりも近づき、他者や自己との対話を活性化することとなったいくつかの事例をご紹介します。そして、2017年のCASTEL/Jでの発表、後に共著として執筆に参加させていただいた『ICT×日本語教育』(當作靖彦監修,李在鎬編、2019年出版予定)にて触れたユーリア・エンゲストロームの「活動システムモデル」「知識獲得のプロセス」を参考として、ICTを利活用したDeep Active Learningの可能性についても探ります。最後の30分くらいを使って、身近なSNSやICTツールを使った教室活動と予想される効果について共有の場を設けられればと思っています。
参加申込フォーム
第5回目の開催情報
■予定:2018年?月?日(日) 10:00~12:00
■講演者:李在鎬(早稲田大学)
■内容は調整中
2017年度の方向性
- 日本語教育に関する多様なアプローチに注目し、講師と参加者がともに学ぶ会として実施します。
- 原則としては事前に参加申込みをすることが参加の条件となります。定員は20名程度。
第1回目の開催情報:タスク主導の言語教育
終了しました
■日時:2017年5月18日 17:00~19:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:事前申込みをすること。定員20名。
ワークショップ概要
- タイトル:タスク主導の言語教育(Task-Based Language Teaching, TBLT)―その理論と実践―
- 要 旨:本講演では、TBLTの理論的な背景とWillis (1996)やSamuda (2001)などの実践上の提案を参照しながら、カーディフ大学日本研究プログラムにおけるTBLT日本語教育プログラムを例に、具体的なTBLTの企画と実践につながるお話をしたいと考えています。そのためにまず、TBLTの歴史的な変遷を英国で生まれたコミュニカティブ・アプローチまで遡って説明します。そしてタスクの定義を整理した後、「タスクが学習を主導する、または促進する」ということについて考察を加えたいと思います。ここでタスクの定義がより絞られるはずです。次に、Willis (1996)、Willis and Willis (2007)、そしてSamuda e al (2000)の知見をもとに、テーマ・トピックをどのようにタスク化していくかについての一つの提案を行います。さらに、テーマ・トピックのタスク化に関連させながら、実践研究の一つの形を提案したいと思います。英国での言語教育におけるアクション・リサーチは、TBLTへの興味関心とともに注目された経緯があるのですが、日本に紹介された時点でTBLTとの関連性がすっかり抜け落ちてしまいました。この講演において、一つの実践研究の形をTBLTと関連付けながら提案したいと思います。この提案では、英国での応用言語学(Applied Linguistics)の成り立ちにも触れなければならないだろうと思います。そしてその応用言語学が、日本で理解されている「言語学の成果を応用する」学という形と異なることは明示されなければならないだろうと思います。結論として、英国でのアクション・リサーチにおいて欠かすことができない”sense of plausibility”という概念を援用しながら、学習者だけでなく言語教師自身も、TBLT実践を通して言語話者として自らの言語を更新し続けていく存在でありうることを伝えたいと思います。
第2回目の開催情報:未来を創ることばの教育
終了しました
■日時:2017年7月1日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:事前申込みをすること。定員20名。
ワークショップ概要
- タイトル:未来を創ることばの教育:内容重視の批判的言語教育(Critical Content-Based Instruction: CCBI)
- 要 旨:現在世界では以前にも増してさまざまな様々な集団の摩擦・対立問題が起こっています。アメリカ・ヨーロッパにおいては、移民、難民問題とそれに関連し極右政権が台頭してきており、日本でもヘイトスピーチに代表されるような暴力的な運動が起きています。このような時代において、誤解、摩擦、対立、戦争を避けるためには、ことばの教育には何ができるのでしょうか。
本講演では、言語学習を生態学視点(van Lier 2004)からとらえ、ことば、(学習者の)アイデンティティ、コミュニティ・社会がお互いに影響を与えあい常に変化しているという点に注目をしている関連理論を概観します。その後、それらの理論を踏まえ、教育へのデザインを行なっている『市民性形成をめざすことばの教育(細川、尾辻、&マリオッティ2016)』、『社会参加をめざす日本語教育(佐藤&熊谷2011)』を紹介したいと思います。最後に、日本語・日本文化といったようなある学習言語・学習文化を習いはするが、それだけにとらわれすぎない、「多言語・多文化」に開かれた日本語教育といったものがどのように可能なのか、筆者の行った実践例をいくつか見てみることで、みなさんといっしょに考えていきたいと思います。
- 参加申込フォーム:
第3回目の開催情報:フランスの教育制度におけるCEFRに基づく言語教育と評価
講師:東伴子(グルノーブル大学/Université Grenoble-Alpes)
終了しました
■日時:2017年8月7日 16:00~18:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:事前申込みをすること。定員20名。
ワークショップ概要
- タイトル:フランスの教育制度におけるCEFRに基づく言語教育と評価
- 要 旨:フランスにおける日本語学習者数はヨーロッパ一位で2015年には2万人を超え(The Japan Foudation 2017)特に高等教育課程において人気が高い学習言語だと言えます。しかしフランスの日本語教育を考える時、日本語はフランスの教育制度内で提供されている学習言語のひとつであるという視点が不可欠であり、評価基準や学習目的を他の言語(主流はヨーロッパ言語)と共通の枠組みで設定することが求められます。特に、学業修了時の到達レベルを示す「認定試験」に日本語が加わることは大きな意味を持ちます。なぜならそのような認定試験は「学習者がその言語を使って何ができるのか」を示す共通の指標として国・言語・教育機関を超えるものであり、言語教育現場と社会をつなぐ機能を果たしている(AJE- CEFR Project, 評価基準チーム, 2016)からです。この点を踏まえつつ、本講演では、フランスの教育省認定のCEFR準拠の外国語認定試験を2つ事例として取り上げ、それぞれの試験に反映されている理念、言語教育観を考察しつつ、日本語との結びつきを考えていきます。一つは、2013年にCEFR準拠として改訂された中等教育修了資格・大学入学資格試験バカロレアの言語試験で、日本語の試験も実施されています。試験様式、評価基準を見ながらこの試験が重視する能力、根底に流れる言語観を検証します。もう一つは2000年に設立された高等教育言語運用能力認定CLESと呼ばれるもので、フランスの言語教育政策を反映しており、行動中心の考えに基づいたシナリオ形式の試験です。日本語は対象言語ではありませんが、実例を見ながら、フランスで日本語を学んでいる学習者にこのようなタイプの認定試験を提供することができるかという可能性とその意義について参加者の方々と一緒に考えたいと思います。
第4回目の開催情報:日本語学習の実践コミュニティ-仲間と一緒に日本語を使う場
終了しました
■日時:2017年12月15日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:事前申込みをすること。定員20名。
ワークショップ概要
- タイトル:日本語学習の実践コミュニティ-仲間と一緒に日本語を使う場
- 要 旨:日本国外で日本語を学ぶ場合は、日本語を使う目的が見えない、日本語を使う仲間がいない、そして日本語を使う場がないという三つのハードルがあります。また、このハードルは日本国内にも存在しているのではないかと思っています。それを乗り越える場としての実践コミュニティを検討します。
■日時:2016年10月23日 13:00~14:40
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:統計ソフト「R」がインストールされたノートPCを持参すること。
ワークショップ概要
- タイトル:エデュケーショナル・データマイニング入門-データに基づく言語教育を目指して-
- 要 旨:教育現場におけるデータの利活用を目的とするエデュケーショナル・データマイニングという学際領域が近年注目を集めている。本ワークショップでは言語教育へのデータマイニング適用事例を紹介しながら、実際に統計解析環境Rを用いながらハンズオンの実習を行う。
■日時:2016年11月20日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:EasyEstimation, EasyEstGRM, EasyNominal(学術目的に限り無料で利用可能)がインストールされたノートPC(Windows)を持参すること。
ワークショップ概要
- タイトル:項目応答理論入門-"EasyEstimation"を用いたテスト分析-
- 要 旨:昨今,言語測定場面のみならず,様々な教育・心理測定場面において項目応答理論(IRT)を用いたテスト分析が行なわれている。本ワークショップでは,講演者開発のフリーソフトである"EasyEstimation"シリーズを用いた演習を通じて,項目応答理論の概要について述べる。
■日時:2016年12月23日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:統計ソフト「Minifac」(ダウンロード無料)がインストールされたノートPCを持参すること。
ワークショップ概要
- タイトル:Facetsを使った多相ラッシュ分析―パフォーマンステストの妥当性検証に向けて
- 要 旨:多相ラッシュ分析は、評価尺度(ルーブリック)や評価者などを伴う、パフォーマンステストのデータ分析や妥当性検証の際に有用である。本ワークショップでは、第二言語評価の場面で使われた多相ラッシュ分析の適用例に触れながら、実際にFacetsを使いながら実習を行う。
■日時:2017年1月22日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:音声分析ソフト「Praat」,統計ソフト「R」がインストールされたノートPCを持参すること
ワークショップ概要
- タイトル:音声データの分析から処理まで―Praatを中心に―
- 要 旨:本ワークショップでは、音声を分析する際に必要となる初歩的な知識と手法を解説し、日本語教育、ならびに英語教育などにどのように活用できるかを解説します。音響的分析を行ったことがない方々を主たる対象者として想定しています。使用予定ソフトは、音声分析用に開発されたPraatです。ワークショップの前半は、音響的分析に際して必要となる基本的な知識について触れます。その後、参加者とともに実際の音声データの読み込みに取りかかり、Praatを使ってできる音声分析方法について解説していきます。ワークショップの後半は、Praatを使用して音声を分析した結果をデータに落とし、それをどのように分析していくか、Excel,Rといったソフトで作業しながら説明していきます。最終的に、音声データを図や表によって「視覚化」し、客観的に分析できるところまで到達することを目標とします。
■日時:2017年2月27日 13:00~15:00
■場所:早稲田大学19号館(地図はこちらをご覧ください)部屋などの詳細情報はメールにてご案内します。
■参加条件:テキスト分析ソフト「KH Coder」がインストールされたノートPCを持参すること
ワークショップ概要
- タイトル:KH Coderを用いた言語学的な分析のための手順
- 要 旨:KH Coderとは日本語の平テキストを対象として、語の頻度順リストやコロケーション統計などを算出し、KWIC検索を行なうツールです。ただし、もともとは文章の内容を分析するためのツールなので、機能語をも対象とした言語学的な分析のためには、若干の設定変更や工夫が必要です。そうした部分について実際に操作を行なっていただきながらご紹介します。