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科研費基盤研究(A)「汎用的日本語学習辞書開発データベース構築とその基盤形成のための研究」

砂川有里子(筑波大学名誉教授)



 本プロジェクトは、科研費基盤研究(A)「汎用的日本語学習辞書開発データベース構築とその基盤形成のための研究」(2011年度-2014年度)のもとに、世界各国の現地語による日本語学習辞書の開発支援を目的とし、「汎用的日本語学習辞書開発データベース(以後「日本語教育語彙表」と呼ぶ)の構築とその基盤形成のための研究を行いました。  日本語学習者数は増加の一途をたどり、さまざまな母語話者向けの日本語学習辞書が必要とされています。しかし、辞書開発には莫大な労力と資金、および、言語研究・辞書研究の蓄積が必要とされます。そのため、その開発は容易ではなく、各地の現地語と日本語によるバイリンガル辞書の開発は、英語など欧米主要言語のバイリンガル辞書に比べると著しく遅れた状況にあります。そこで、自力で辞書を開発できる人材・資金・ノウハウに欠ける環境でもバイリンガルの日本語学習辞書開発が可能となるよう、辞書開発に必要な情報を搭載した「日本語教育語彙表」を構築しました。
 この語彙表は、「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」や日本語教科書のコーパスの語彙調査を行うことによって選定された1万7千920項目の見出し語からなっています。各見出し語には、経験豊富な日本語教師の主観判定に基づく6段階の難易度の他、旧日本語能力試験の等級、品詞・語種・表記・アクセントなどの情報や、語義と用例(作例とコーパスからの実例)が搭載されています。
 本プロジェクトは、この語彙表の他に、コロケーションリスト、類義語リスト、文化的発見記述文リストを作成し、これら全ての情報を一挙に検索できる検索システムをウェブに公開しました(http://jreadability.net/jev)。また、このサイトからは、エクセルファイル形式の「日本語教育語彙表」がダウンロード出来ます。ウェブの検索システムは、日本語教師や日本語学習者向けの日常的な辞書としての使用を、エクセルファイル形式の「日本語教育語彙表」は、研究支援や日本語教育用のコンテンツ開発支援としての使用を目的としています。

メンバー

学習者辞書グループ

 ■砂川有里子 :研究代表者,総括担当
 ■李在鎬:日本語教育語彙表のメンテナンス担当,HP担当
 ■川村よし子:データ構築担当
 ■今井新悟:データ構築担当
 ■杉本武:データ構築担当
 ■長谷部陽一郎:ウェブシステム構築担当
 ■高原真理:データ構築担当

科研の研究グループメンバー

 研究分担者
  松崎 寛、小野 正樹、山内 博之、李 在鎬、井上 優、簗島 史恵、今井 新悟、杉本 武、千葉 庄寿、
  堀 恵子、迫田 久美子、BEKEŠ Andrej
 連携研究者
  長谷川 守寿、石田 プリシラ・アン、鈴木 智美、橋本 直幸、小林 ミナ、大関 浩美、五十嵐 陽介、
  パルデシ プラシャント、福永 由佳、田中 牧郎、近藤 明日子、川端 一光、仁科 喜久子、
  宇津呂 武仁、山本 和英

実績(最終成果報告書)

■最終成果報告書:KAKEN(科学研究費助成事業データベース)参照




・科研事業を推進するための研究集会で使用した資料集です。
・査読をした論文というわけではありません(大学院の皆さんは引用しないようにしてください)。
・日本語教育語彙表が作られるまでのプロセスを知るための資料として公開します。
・自己責任の範囲でお使いください。

ヨーロッパ研究集会(2012年3月18日開催)

  1. 若井誠二、 マーテー・ゾルターン 「日本語・ハンガリー語辞書作成の現状と課題」【PDF論文】

マレーシア研究集会(2013年3月2日、3日開催)

  1. 李在鎬 「大規模コーパスに基づく語彙リストの検証」【PDF論文】
  2. アグス・スヘルマン・スルヤディムリア 「インドネシアでの日本語学習辞書開発の状況―パジャジャラン大学を中心に―」【PDF論文】
  3. タサニー・メーターピスィット 「タイ人日本語学習者の辞書使用状況の調査」【PDF論文】
  4. 石田プリシラ 「コーパスと辞書に見られる慣用句の『変異形』」【PDF論文】
  5. ウォーカー泉、内海朋子 「お礼の手紙における誤用研究―シンガポールの初級日本語学習者を対象に―」【PDF論文】
  6. 今井新悟 「1億語コーパスで見えること、10億語コーパスで見えること―コロケーションについて―」【PDF論文】
  7. 砂川有里子・李在鎬・高原真理 「学習辞書編集支援データベースの構築」【PDF論文】

中央アジア研究集会(2014年11月16日、17日開催)

  1. 齋藤篤、アマンタイ・ジャナル、バグダウレット・アキン、カディコバ・サマル、橋本敦、岩垣穂大、扇原淳 「日本語‐カザフ語辞書作成の試みとその評価」【PDF論文】
  2. 因麻衣子、ボランクロワ・サマル 「和露・露和辞書の副詞の記述」【PDF論文】
  3. アキモヴァ・スサンナ 「日本語で法学研究をする学習者による辞書の利用状況」【PDF論文】
  4. ウマロヴァ・ムノジャット 「ウズベキスタンにおける日本語学習者の辞書使用の実態調査および学習者向け辞書作成への可能性」【PDF論文】
  5. ヴォロビヨワ・ガリーナ 「漢字索引の効率性の比較分析」【PDF論文】
  6. 川村よし子 「やさしい日本語書換えシステムの開発と評価」【PDF論文】
  7. 今井新悟 「コロケーション収集の方法」【PDF論文】
  8. 近藤正憲 「BCCWJ を用いた『を通して』と『を通じて』の差異の研究と語彙指導」【PDF論文】
  9. 小野正樹 「動詞『みる』の多義性とコロケーション」【PDF論文】

国際研究集会(2014年12月7日開催)

  1. ショリナ・ダリヤグル 「カザフ国立大学の言語学習者の学習リソースの利用―韓国・日本学科の学習者を例に―」【PDF論文】
  2. タサニー・メーターピスィット 「タイ人日本語学習者の辞書使用実態と語彙教材作成の試み」【PDF論文】
  3. アグス・スヘルマン・スルヤディムリア 「インドネシア人日本語学習者が求める日本語の辞書とは?―アンケート調査を基にして―」【PDF論文】
  4. ヴォロビヨワ・ガリーナ 「キルギス共和国における辞書使用と辞書作成の現状」【PDF論文】
  5. 張麟声「日本語学習辞書の現状と課題―日本国内から発信する『日本語の解説による日本語学習辞書』の作成に関する一提案―」【PDF論文】

関連業績

  1. 堀恵子 「web公開予定文法用例検索システム『日本語文法項目用例文データベース』の概要と目指すもの」【PDF論文】
  2. 堀恵子 「文法項目データベース『はごろも』の海外における利用可能性をさぐる―口頭能力評価と読解教材分析から―」【PDF論文】
  3. 水上由美 「動詞の類義語が相互に入れ替え可能な例文集―類義語リストを作成する作業から―」【PDF論文】
  4. 橋本直幸 「話題分類に基づく動詞の記述方法―日本語学習者用辞書のために―」【PDF論文】
  5. 江田すみれ 「『ようになる』の用法―学習者の誤用を防ぐために―」【PDF論文】
  6. 石田プリシラ「日本語コーパスに見られる慣用句の用法」(研究社WebマガジンLingua6月号第1巻第13号、連載「実践で学ぶコーパス活用術」第12回)【PDF論文】
  7. 石田プリシラ「日本語コーパスに見られる慣用句の変化可能性」(研究社WebマガジンLingua7月号第1巻第13号、連載「実践で学ぶコーパス活用術」第13回)【PDF論文】
  8. 高原真理「日本語学習辞書開発に伴う表記情報の掲載基準に関する一考察」(筑波大学留学生センター日本語教育論集第29号)【PDF論文】

概要

  1. 日本語教育語彙表(Ver1.1)は日本語学習者にとって必要な語彙を収録したデータベースです。収録語の見出し語数は、17908語です。なお、Ver 1.0では「17920語」でしたが、重複語彙を削除し、「17908語」になりました。
  2. 作成時の基礎資料として,次の二つを使用しました。『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ:Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)と「日本語教科書コーパス」(初級から上級まで市販されている教科書100冊の電子データ版;非公開資料)
  3. 構築に関する詳細は、Sunakawa, Yuriko, Lee, Jae-ho, and Takahara, Mari (2012) [PDF]をご覧ください。

収録データの構造

項目名 説明
No 項目のID番号です  
標準的な表記 新常用漢字表に従って標準的な表記を入れています。漢字かな交じり表記  
読み カタカナ表記で読みの情報が入っています。  
語彙の難易度 日本語教育上の語彙レベルが入っています。 初級前半,初級後半,中級前半,中級後半,上級前半,上級後半
品詞 UniDicに基づいて品詞(品詞2(詳細))と簡略版の品詞(品詞1)を入れています。複合語の場合は,and で全品詞を入れています。 相方:名詞-普通名詞-一般,愛煙家:名詞-普通名詞-一般 and 接尾辞-名詞的-一般
語種

UniDIcに基づいて語種を入れています。定型句(例:お疲れさま)はUniDicの仕様にはなく,本システム独自のカテゴリーです。

和語,漢語,外来語,混種語,定型句
更新情報

バージョンアップにより、変更が加えられた場合、その詳細を記述しています。

語彙表に関する詳細情報

  • 砂川有里子(2012)「学習辞書編集支援データベース作成について -『学習辞書科研』プロジェクトの紹介」『日本語教育連絡会議論文集』24号[PDF]
  • Sunakawa, Yuriko, Lee, Jae-ho, and Takahara, Mari (2012) The Construction of a Database to Support the Compilation of Japanese Learners Dictionaries, Acta Linguistica Asiatica 2(2), pp.97-115 [PDF]

利用規約

  1. 【利用範囲】研究・教育のための利用に限定します。
  2. 【論文などを公表する場合】本語彙表を利用して,論文や記事を執筆される場合は、必ず本語彙表を利用した旨を明記してください。書き方の例:「本研究では,日本語教育語彙表(http://jhlee.sakura.ne.jp/JEV/)を利用した。」
  3. 【二次配布】本語彙表の二次配布はご遠慮ください。
  4. 【免責事項】本データを利用したことによって生じるいかなる損害についても,当科研グループは賠償する責任を負いません。また,本データのコンテンツは予告なく変更されることがあります。

Googleシート版(閲覧のみ)

ダウンロード版

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